6月の受注は5月より増加した

亜鉛地金の国内外価格の高騰について、三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部の芥田知至主任研究員は「世界景気の回復に伴い自動車向けなど需要の増加が意識されやすくなっている。一方、大型鉱山の閉山など供給抑制からタイト感が強まっている」と指摘する。(1面参照) 【11年以来の高値】 国際指標となるロンドン金属取引所(LME)の3カ月先物価格は8日、トン当たり2282ドルで取引を終了。一時、同2318・5ドルと、2011年8月上旬以来の高値を付けた。LME指定倉庫在庫の減少が続く一方、中国、米国、日本などで自動車販売が堅調で、自動車用鋼板向け亜鉛メッキ需要が伸びるとの見方が広がった。建設、家電向け需要も堅調。 LME指定倉庫の亜鉛在庫は7日時点で前営業日比500トン減の66万3150トン。年初から約3割減少し、10年12月以来の低水準となっている。 亜鉛の需要は、亜鉛メッキなど鉄鋼のコーティング用途が多く鉄鋼生産量に左右される。中国、米国、日本などで鉄鋼生産は堅調に推移している。また電池材料やダイカスト材としても使われる。鉱石、地金の生産、消費ともに中国のシェアが高い。 【需要超過】 インフラ整備が進む中国やインドなどで消費が増加している一方、供給は不足感が強まっている。国際鉛・亜鉛研究会(ILZSG)によると14年1―4月の世界亜鉛需給バランスは10・7万トンの需要超過になった。韓国や中国を中心に需要が前年比7・5%増加する一方、生産は4・1%増にとどまった。今後も需要超過幅が拡大するとの見方が相場を支援している。 今後の亜鉛相場の展開についてマーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘代表取締役は、「下期以降、供給不足が鮮明化すると見ている。だが、中国の住宅部門の回復が鈍化していることなどから、春先に想定していたほどの供給不足には陥らないと予測している」と話す。 【経済回復基調】 米国、日本などの先進国経済の回復基調が亜鉛を含む非鉄市場の支援材料となっている。米労働省が先週発表した6月の雇用統計は、景気動向を反映する非農業部門の雇用者数が前月から28万8000人増加し、伸びは市場の事前予想の21万2000人増を上回った。 失業率は6・1%と、約6年ぶりの低水準に改善した。失業率、雇用者数とも回復傾向が鮮明化している。最大の非鉄消費国、中国は経済成長鈍化懸念が強かったものの、一連の景気対策を受け、持ち直しの動きを強めている。 中国国家統計局が1日に発表した6月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は51・0で、5月の50・8から上昇し、6カ月ぶりの高水準となった。 また、HSBC/マークイットの6月の中国製造業PMI改定値は50・7となり、5月の49・4から上昇した。6カ月ぶりに景気拡大・縮小の判断の分かれ目となる50を上回った。インドネシアが未加工鉱物の輸出禁止を継続していることも非鉄金属相場の支援要因となっている。 【東京】東京地区の工具需要は引き続き回復基調をたどっている。景況感の改善や工作機械の内需が盛り上がる中、「6月の受注は5月より増加した」(大手工具メーカーの営業担当者)。5月は営業日が少なかった影響があるが、「しばらく不調だった金型向けも調子を取り戻している」(同)と、自動車だけでなく幅広い産業で堅調だ。同社では前年より高い販売計画を掲げており、6月までの進捗(しんちょく)は計画ライン上にあるという。 一方、主に輸入工具を扱う販売会社社長は「4―5月は弱含みだったが、6月は戻した」と需要は底堅い。ユーザーの工場稼働は4月以降も特に変わりはなかったとみる。主に流通側の在庫調整を理由に、4、5月に落ち込み、6月に好転したようだ。「全体的に堅調さが継続している」と市況の安定感を指摘する。 【名古屋】名古屋地区の市況は足元が低調なものの先行きについては楽観している向きが多いようだ。 ある工具メーカーは商社が消費増税前に先行発注をした分の反動で、6―7月は落ち込みを見込んでいるが、「8月以降でいろいろな案件が出ているので、落ち込みはカバーできる」(工具メーカー幹部)と自信をみせる。 年間を通した見通しは市況が上向きはじめた2013年よりも良いという。 工具の売り上げに影響が波及する工作機械の市況は国内需要が好調を維持している。中部経済産業局の調べでは5月の管内工作機械メーカー主要8社の国内受注は10カ月連続で前年を上回った。特に地場の主力産業である自動車向けは前年同月比で約2倍の伸びを示しており、投資意欲が高まっている。工具もその恩恵を受けられそうだ。 【大阪】大阪地区の6月の切削工具販売は依然として荷動きが低水準で、前年同月実績を割り込むメーカーが多い。「5月に比べて稼働日数が多い分、前月比では上昇したが前年同月比はまだマイナス」(切削工具メーカー社長)。また、別のメーカーも「日割りで、前年同月比約90%で推移している」という。 主要因は「自動車の消費増税駆け込み需要の反動」(機械商社)。ただ6月に入り、自動車関連で回復の兆しも見え始めているという。5月の段階では工具需要の回復時期を秋頃とする見方が大勢を占めていたが「今夏に回復すると思われる」(メーカー)との声も出始めている。 一方、航空機産業向けなどは比較的好調。建設機械は、1次協力工場で生産調整が続いている模様だ。

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

このページの先頭へ